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五月の演奏予定

桜の花もすっかり散り、そろそろゴールデンウィークの今日この頃。皆様いかがお過ごしでしょうか。

ここ一年復帰してからというもの、足繁く千葉界隈の繁華街に繰り出して色々な音楽に触れたりしながら過ごしていました。そこで気付いたのは、jazzを聴きたいという人があまりいない事。それと、音楽をライヴで観るならば踊れるビートが欲しい、という事です。それで、今まで触手が伸びなかったsoul、acid jazzやgroove jazzなどの分野のCDを中古で買い漁り渉猟してみました。それが意外と面白く、じゃあ実際に…という事で富士見町のBARで日曜日深夜やっているジャムセッションで演奏したりして試していました。四年くらい前から続いていたアメリカ人のマッチョドラマーと、イギリス人の酔っ払いサックス奏者との濃厚な時間、だったのですが。
そこで思いついた方法などを今度はバンドで、ライヴにしよう…というのが来月初旬に久々にやるこの演奏です。

5/7(月) 千葉みなと clipper 21:00 チップ制
KENYA SUZUKI the namako groove
鈴木健也(gt.)米田直子(org.)
金田洋一(b.)鈴木雄二(ds.)

是非お越しください。お楽しみに。
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by kenya-guitar | 2012-04-26 15:32 | スケジュール | Comments(0)

百貫デブ(11)

〈童貞(名)〉①純潔を守って、異性と交わらない・こと(男)。②〈宗〉カトリックの尼さん。

「こんばんは」

暗闇を抜け出して急に明るくなったコンビニ前ではおにぎりを食べながら煙草を吸っている一人の男の姿が照明に浮かび上がった。ここのコンビニで夜勤専門に働いているイシちゃんだった。身長160cm、体重110kg、小さな力士みたいな体型、現在二十九才ゲームばかりしている彼は全くの童貞で、童貞のまま三十才を過ぎると魔法使いになれるという噂話を本気で信じている。栄町にでも行って来いよ、旧市街地の元赤線地帯を指して私が言うと、オレは魔法使いになりたいんです、と決まって返すのだった。

「今夜は?入荷は?」

いつもならば0:00頃にはコンビニ前にトラックが停まり弁当などの入荷があるはず、煙草を吸っている余裕はないのだが、どうやら今夜は配送が遅れている様だった。客は誰もいない。店の前、私は全面ガラスの縁に腰掛けて煙草を一本取り出した。最近建てられたコンビニではこうやって腰掛けたり、テーブル代わりにゴミ箱の上にビールの缶を置いたりも出来ない。酔っ払いが店の前にたむろ出来ない造りになっているが、建てられて二十年近くにはなるだろうこの店は違った。客が少ない寂れた立地を好んでか、この近辺に住む酔っ払いが夜な夜な集まってくる。私もその中の一人、ディープなドランカーだった。
ほどなくして、配送のトラックが到着した。イシちゃんは煙草を揉み消し、店内へ。五十絡みの男性がトラックの運転席から降りてくる。黙々と荷台を開き、弁当やおにぎりが入ったケースを肩の高さまで積み重ね、店内へ運び始めた。夜中のこの時間に、私はきびきびしたその動きを座り込んでぼんやりと眺めていた。


(おわり)長い文章、最後までお付き合い頂きましてありがとうございました。
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by kenya-guitar | 2012-04-18 14:25 | 小説 | Comments(0)

百貫デブ(10)

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〈闖入(名・自)〉とつぜん、はいりこむこと。とびこむこと。

再び静まり返った誰もいない浜辺、二本目のウイスキーも波の音を聞きながら飲んでいるとあっという間だった。数ヶ月前からだろうか、酒を飲んだ時にある嘔吐感が今夜もまたあるが、酔いも持続しているため気にしないようにしていた。酒の飲み過ぎが原因で、食道と胃の間にある弁がへたっている、逆流性食道炎…いつも通う精神病院の薬局に貼られたポスター、手塚治虫のキャラクターがそう説明していた。時刻は0:00になろうかというところ、浦安のディズニーランドの明かりも消えている。市原方面に見える煙突は溶鉱炉だろうか、時折オレンジ色の炎が上がるのが夜中になるとはっきり見えた。
そろそろ行くか、腰も重たくなってはいたが立ち上がる事にした。

足は少しふらついたが、階段を登り堤防を越えてゴミ箱にウイスキーのボトルとペットボトルを静かに入れた。松が植えられている歩道を陸側へ、自宅の方向に向かって歩いていく。天気も穏やかだったし、今夜は良い夜だった…突然の闖入者二人を除いて、と言いたいところだったが、それもそれで今夜私が遭遇すべき人達だったのかもしれない。さっきまで聞いていた波の音が嫌な感情を穏やかに浄化してくれている気がした。自殺未遂したあの男は素足のままどうやって帰ったのだろうか。犬のおじさん、明日も豆柴達を連れてまた歩いているだろうか。今夜の出来事はあれはあれで、今夜しか見る事の出来ない一つの風景だったのだろう。些末な日常生活から抜け出してここまで来て、映画館のワイドスクリーンよりも広い、さっきいた場所から見渡せる東京湾の景色を前にしているとそんなふうにすら思えてくるのだった。

真っ暗な県立高校の前を通り過ぎて電気が煌々と灯っている一角が見える。私が好んでよく行く寂れたコンビニだった。

(つづく…)
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by kenya-guitar | 2012-04-13 15:15 | 小説 | Comments(0)

百貫デブ(9)

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〈逆上(名・自)〉①(漢方で)のぼせ。②かっとなること。

私が声を掛けた瞬間、その男は歩を進めていた脚を止めた。ふと見ると、靴もサンダルも何も履いていない素足だった。声を掛けたのは良いが、自殺しようとしていたとするならきっと気持ちが高揚しているだろうから、あまり刺激的な事を言って逆上されても良くない。かと言って、また海に戻ってもらってもそれは困る。警察と繋がったままの携帯を手にしながら、どう話して良いのか考えあぐねていた。男はずぶ濡れの髪、視線を私に合わせようともしない。三十代後半から四十代、恐らく私よりも年上だった。

「あのぉ…」

立ち止まる男に何を話して良いのか。死んだ魚みてえな目をしてやがる、威勢の良い寿司屋の板前が放った一言を思い出していた。例えるならば、精気の無いそんな眼差しだろう。ふと犬のおじさんのさっきの演説が脳裏を過った。

「あのぉ…この浜辺って…遊泳禁止なんですけど…ご存知ですか?」

気の利いた言葉が何も思い浮かばず、ようやく絞り出した一言。私は男の目を見つめる。もう海に入らないよね、そんな意思を何となく伝えたかったのだと思う。しかし、男はその視線を振り払うかの様に黙ってまた歩き始めた。

「うぅぅ…バカヤロー…」

振り向くと、力を落とした背中で呻きながら未だ呟いていた。きっと大丈夫だろう。もう絶対に海に入らない、とは限らないが、余力を感じられなかった。沖に向かって泳ぎ出すにはエネルギーがもう無い、そんな感じにしか見えない背中だった。警察署の職員と話している途中だったのを思い出した。

「多分…今、向こうに行っちゃって…多分、もうやらないと思います…すいません…」

「そうですか…大丈夫ですね。もしまた何かありましたら電話ください」

沈黙を交え警察署の職員とのやり取り、五分くらいの長さの電話を終えた。犬のおじさん、夜中の入水自殺未遂…突然の出来事を振り返って、徒労感が湧いて出た。時計を見ると22:00を十五分ほど過ぎたところ。一本目、飲みかけのウイスキーの蓋をひねって二口、三口含んでからミネラルウォーターで流し込んだ。煙草を取り出して火を点ける。思い切り煙を吐いた。警察に電話などするんじゃあなかった、あんなつまらない事で…酔いもだいぶ回って、少しばかり自己嫌悪にまみれていた。

(つづく…)

KENYA SUZUKI the namako groove 始動しました…乞う、ご期待。。。
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by kenya-guitar | 2012-04-11 05:21 | 小説 | Comments(0)

百貫デブ(8)

〈ジレンマ(名)〉①進退きわまること。板ばさみ。②両刀論法。

「畜生…バカヤロー…うぅぅ…」

沖に向かっていた男は反転、ずぶ濡れになって呻き声を上げながら浜に戻ってきた。私が電話で話しているこの場所、東屋に向かっている。

「あぁぁ…自殺しようとしている人…何だか諦めたのか…海から上がってきましたね」

なんだったのだろう。拍子抜けした感が否めない私は、電話している自分の立場が空回りしているのを感じながらも実際に目の前で起こっている出来事を警察署の職員に伝えていた。

「そうですか。そうしたら警察官を派遣しないで大丈夫ですかね?」

私も随分お騒がせな事をしているものだと恐縮しつつも、向こうも向こうでそうした電話の対応に慣れているのだろうと感じた。しかし、今さっき海から上がってきた男がまた海に向かって行かないとははっきり分からない。警察官を派遣しないで結構です、私が言った後、また自殺しようと海に消えたとしたら…つまらない事を考えていた。事件になったら私は目撃者だ。自分の責任として擦り付けられるのが嫌なだけで、その男の生命だとかそんな事は別にどうでも良いのかもしれない。

「うぅぅっ…バカヤロー…畜生…」

ずぶ濡れの男は砂浜に上がり、階段を登って東屋に。まだ何か呻いている。ここまで覚悟無く自殺しようとして、周りを騒がせておいて…バカヤローなどと言っている対象はその男自身であって欲しい。少なくとも自責の念に駆られてバカヤロー、と発しているのであって欲しいと私は思いながらも、自責の念が強過ぎて自殺しようとするのか、ジレンマだとも思った。私は電話で警察と話しているのをすっかり忘れ、ずぶ濡れの男に見入っていたのだ。男は東屋、私のすぐ近く3m程の場所にいるが暗くて顔ははっきり見えない。

「うぅぅ…バカヤロー…」

項垂れて私のすぐ傍をとぼとぼ通り過ぎて行こうとするその男に、思わず私は声を掛けた。

「あのぉ…?」


(つづく…)
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by kenya-guitar | 2012-04-08 17:23 | 小説 | Comments(0)

百貫デブ(7)

〈傍観(名・他)〉(なにもしないで)そばで見ていること。

「はい、もしもし!110番です。どうされましたか?」

ざぶざぶと暗い波間に消えていく男を前に一人残された私は、ただの傍観者として直接的に為す術を持たなかったのだが、仕方なく携帯で警察に通報する事にした。穏やかな波とは言え、着のみ着たまま夜中の海に入って行くのはやはり尋常ではない。

「今、美浜区の検見川の浜にいるんですけど、入水自殺で…海に男が消えて行ったんです…」

「はい?どこの美浜ですか?」

「千葉市の美浜区の検見川の浜ですけど…」

「千葉県の…?ですか?」

すっとぼけた声の警察官、全く要領を得ない返事。目の前の切迫した状況と対照的な対応に私は苛立った。私の携帯から発信されているGPS情報を通じて、私が今現在いる場所を確認しながら最寄りの警察署職員が応対しているはず、と思っていたのだが。一分ぐらいの不毛なやり取り、私は訝しく思って更に質問した。

「ここだったら千葉西警察署の管轄ですよね?」

「えっ?違いますよ…おたくさんのこの電話は浦安に繋がってますけど?」

叫びながら波間に消えて行った男を目で追った。波の向こうに賑やかに光っているのは東京ディズニーランドのネオン、私は納得した。私が掛けた電話、今いる場所から内陸へ2km程いった警察署に繋がらずに、海を挟んで数km向こうの浦安にある警察署に繋がっているらしい。私は会話が成立しない理由を受話器の向こうに伝えると、その職員も納得した様子で大きく頷いた。

「畜生…バカヤロー…」

自殺しようとしてか沖に向かって行った男の方から悲痛とも取れる呻き声が聞こえてくる。一刻も早く警察官を派遣して欲しい。でないと、明日この浜に死体が…本題に入り、その旨を伝えると

「そうですか…そうしたら、今いる場所を教えてください」

苛立ちを堪えながら、仕方なく内陸側の最寄りの警察署からこの浜に来る道のりを説明する。その間も私は消えた男を確認しようと、暗い海を凝視していた。すると、割と浜に近い場所にいるのが見えた。

「あっ…」
「どうされましたか?」

思わず声を上げた私。消えたと思った男は陸側、こちらを向いて波の中を歩いていた。自殺するのをもう諦めたのだろうか。


(つづく…)
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by kenya-guitar | 2012-04-07 17:37 | 小説 | Comments(0)

百貫デブ(6)

〈土左衛門(名)〉溺れて死んだ人。水死体。

東屋の軒先で犬のおじさんが海に向かって吠えているのを三匹の豆柴達は座って従順に聞いていた。その演説の最中、私の座っている後ろのサイクリングロードを若いカップル、二人乗りの自転車で通って行った。一円玉をばら蒔いた様な響きの笑い声、よほど楽しいのだろう。心地よい夜の静寂をかき乱す突然の出来事、私はどう反応したら良いか分からずにただじっと座って様子を窺っていた。
犬のおじさんは言いたかった事を海に向かって吐き出してすっきりしたのだろうか、持っていたコンビニ袋の中から缶を取り出す。ウイスキーの水割り缶、開栓する乾いた音が静寂の中に広がるのを確かめる様にして一気に飲み干す。屹立として表情が険しくなったのが暗がりの中でも分かった。

「行くぞ!!」

豆柴達に繋がれたロープを引っ張ると、踵を陸側に返した。犬のおじさんが二、三歩足を進めたくらいだった。

「バカヤロー!!」

東屋のすぐ下の砂浜を海に向かって叫びながら走っていく人影が見えた。男の声だった。まさか、とは思ったが、そのまま人影は夜中の海へと吸い込まれる様にして消えていく。その時に私が、あっ、と静かに声を上げたのを聞いて、犬のおじさんも海を振り向いていた。入水自殺だ、半信半疑ではいたが瞬間的にその四文字が頭の中に浮かんだ。ふと犬のおじさんを見るとさっきと変わらず険しい表情をしていた。

「けっ…バカ共が…行くぞ」

吐き捨てる様に呟く犬のおじさん。そのまま豆柴達を連れて行ってしまった。
東屋に一人取り残された私。静かに酒を飲みたいと、今夜この浜辺にやって来たのを少しばかり後悔していた。犬のおじさんの演説を聞かされた上に、入水自殺しようとしている男にとって唯一の目撃者となってしまった。私が何かしてやらないと命を落としてしまう人間がすぐそこにいる。否、ひょっとしたらいっそのことそのまま放っておいた方が本人にとっては幸せなのかもしれない。とは言うものの、未だ季節は夏の前、その人を助けようとこれから夜中の海にじゃぶじゃぶ入って行く気力もない。ましてや私はかなり酒を飲んでいるため、逆に土左衛門になりかねない。その人の生命か、幸福か、何を優先させてやれば良いのか、酩酊している中で私は混乱していた。

(つづく…)
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by kenya-guitar | 2012-04-03 17:05 | 小説 | Comments(0)


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