2016年10月の演奏予定


 暑い夏から秋風が流れ始めると早いもので、九月も残りわずか。皆さまいかがお過ごしでしょうか。ここのところ、ご無沙汰だった演奏予定のご報告を久しぶりに…。

10/2(日) 千葉県鴨川市 古民家ゆうぎつか 12:00
       鈴木健也(gt.)


10/29(土) 埼玉県戸田市 アートむすび市 vol.3 時間未定
       鈴木健也(gt.) KAMIL(gt.) marco(crystal bowl)


 鴨川の古民家ゆうぎつか、はじめてお誘い頂いた場所ですが、「きらめ樹」という林業のワークショップだそうです。知り合いの「偶人」作家の方のご自宅に近い場所だと思いますが、空が広く目の前に迫ってきてすごく空気の良い場所なので楽しみです。ギター一本持って電車でぶらり旅です。
 それと戸田のアートむすび市ですが、よくよく見てみると私が小学生時代に遊んでいた辺りです。日曜日になると、私と弟と隣に住むアキオの三人は五百円(交通費)とおにぎりを渡され、西浦和か東浦和に行って川でタナゴを捕ったりして遊んでました。今年はKAMILもmarcoさんも一緒に秋のピクニック。トルコの弦楽器ウードとの共演もあるそうで、なんとも楽しみです。

 どちらとも、お店で演奏するような、いわゆる「ライブ」とは違った趣の野外イベント。演奏以外にも楽しめる要素が、おてんこ盛り。皆さま、秋の行楽シーズン、レジャーのお供に私のギターもどうぞ聴いてみてください。



 
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# by kenya-guitar | 2016-09-28 15:09 | スケジュール | Trackback | Comments(0)

自然に産まれたメロディ (2)




 これは幻聴ではない。決まった音階でメロディが奏でられている。久しぶりに身体にスゥッと溶け込んでくるこのメロディの正体はなんだろう。
 分厚いコンクリートで固められたトンネルに響く反響音。音源を眺めた先にあったのは、雨水が集められる桝であった。そこからアスファルトを抜けて、腕の太さほどの塩化ビニールのパイプが。今いる歩道から一段下がった車道へ伸びていた。1.5メートルほどか。その中を水滴がひとつ、ふたつ、ピチョン、ピチョン…滴り落ちる音。間違いなく、それぞれが違った音程を発していた。それが硬いコンクリートに反響して、全身に降りかかるようだった。ペンタトニック・スケールで奏でられていた。

 大地から海へと流れた水が、陽の光を浴びて大空へと舞い上がり、風にゆらゆらと流されて雨となって再び大地へ舞い戻る。その水の一粒一粒がこうやって勝手にメロディを奏でながら、再び海に流され…そんな循環の中で私は生かされているのだ、一瞬にしてそんな広がりが身体を巡った。

「わかってくれるかい?」

すぐそばのお社、杜から降ってくる大勢のセミの鳴き声からそんな声を感じた。

 暑い夏の数日間しか生きられないセミたちのオーケストラ、雨粒たちが奏でるメロディを、線路下、深夜のトンネルの歩道、欄干にもたれかかりながらシャワーのように浴びてしばらく時間を忘れた。

 水琴窟、と言うのか。きっと誰も気付かないままに、コンクリートに囲まれた空間の中に生まれていた。この人為的なライブハウスで、夜中に誇り高くも儚い、甘美な旋律を孤独に奏で続けていたのである。



((おわり))
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# by kenya-guitar | 2016-09-27 14:44 | 雑記 | Trackback | Comments(0)

自然に産まれたメロディ (1)



 何日か前に感動したこと、なんとなく人さまに伝えたくなった。

 ここ一年以上、ペンギン村にいる家族と離れて独りで暮らしている。テレビも冷蔵庫も、電子レンジもパソコンも洗濯機もない。ギターしかない部屋。駅から近くの安アパート。隣はお墓、と言うよりお寺。ギター講師の仕事をしながら、毎日いろいろな方に接して、それだけで充実している。ちなみに音響機器もない。


 仕事も終わり、千葉の繁華街にあるロックBAR、静かな平日の夜にギターを弾いていた。音階、ここ最近お気に入りの組み合わせを即興で弾いていた。自然と、どこかの国の音楽のようになる。ロックではないけれど、ウィスキーのソーダ割を飲みながら。
 カウンターの中で黙って聴いてくれているママさん、じきに店に入ってきた女の人たち。自然に会話が生まれる中、ずっと弾いていた。それでも長く居るうちに、なんとなく居たたまれなくなりギターを持って店を出た。終電で。今住む私の町へ。

 雨上がりの夜中、駅を降りると誰もいない街。ギターを駅近くの私のスタジオにそっと置いて、てくてくと。辿り着いたコンビニの前で開けたハイボール缶。繁華街の雑踏を抜けて、静寂と暗闇に自分を浸していた。濡れた舗道をギラギラ照らす街路灯は、月明かりの真下にあって。近くの神社の杜だろう、こんな夜中に蝉たちがわなないている。それはそれで良いサウンドなのかもしれない。

 ふと、高くキレイに響くメロディが聴こえてきた。なんだろう、酔狂な、迷惑だろう。こんな夜中なのに。コンビニの目の前の住宅街で誰かが楽器を練習しているんだろうか。

 思わず歩き始めた。コンビニ前の信号をハイボール缶片手に。まるで二十代の頃に聴いたトリニダードドバゴのスティールパンのような音色、それが奏でる美しいメロディが徐々にボリュームを上げながら耳にふくらんでくる。

 不思議なことに、総武線下をトンネルのように抜ける道路、その歩道に入ってから、そのメロディは一層音量を上げていく。エコーもより深く。車は一台も通っていない。道を照らす蛍光灯に重苦しさは全くなく、住宅街を外れていく。すぐそこの大きな神社の傍を抜けるトンネルは大雨の時には冠水して、今いる一段上がった歩道、酔いの回った頭でも幻聴じゃあないよな、自分を確かめながらただ歩いていた。



((つづく))
 
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# by kenya-guitar | 2016-08-21 01:27 | 雑記 | Trackback | Comments(0)

悲しい夫婦



「生まれはどちらなんですか?」

 一年以上ぶりに髪を切るため飛び込んだ初めての美容室。鏡の前に座る私は声をかけられて目を開いた。鏡の中には三十分前と違う髪型の私がいる。いやぁ、世田谷なんですが、父母はもともと東北の出身で、しかも千葉のほうが長いし…見馴れない髪型、ずっと静かにしていたため発した言葉もどこかたどたどしい。美容師の方は修正するように髪の毛を切ってくれている。

「世田谷は私も長い間住みましたけれど、良い場所ですよねえ」

なんてことは無い会話が膨らみ、この歳になると自然に囲まれた場所に住みたい、という私の結論に達した。最近お気に入りの場所は、小高い丘に畑が広がる古い集落。ハクビシンや野ウサギもいるし、野鳥もたくさん。静寂に包まれているようで、賑やかだ。一生そこに暮らしたいとも思う。

「野鳥、って言えばハクチョウがいるの知っていますか?」

ペンギン村から花見川沿い、上流に向かって五kmほどの町、まだ新しい橋が架かっている。瑞穂橋。そこにつがいのコブハクチョウが仲良く住んでいるのは知っていた。昨年の夏から、雪降る冬まで、通るたびに場違いなその夫婦を気にして眺めていた。

「最近、一羽消えたらしくて、ハスノハナ区役所に電話で問い合わせた方がいたんです。どうしたんだと思います?」

ずいぶん暇な人間がいたものだ、でもオレも暇な類の人種だよな、とか内心考えながら、ハクチョウに聞いてくれって言われたんじゃあないですか、と返す。美容師の方は鏡越しに髪の毛を梳かしてくれている。

「それが…」

つがいの片方、一羽のコブハクチョウが近くを走る高速道路の車道に飛来して不時着。大渋滞が起こったらしい。そうなると管轄は道路公団なのか、が捕獲して、どこか遠い場所に放してしまった、と。待ちわびる妻と帰れぬ夫、もしくは待ちわびる夫と帰れぬ妻、のコブハクチョウ。いずれにしても、そのシチュエーションは悲しすぎる。自宅は花見川瑞穂橋の橋の下、の芦原だ。そうでしたか…私は他に何も返す言葉が出せなかった。

 今現在、瑞穂橋にいるコブハクチョウは一羽だけ、だそうだ。だとしたら、その夫婦に私は何をしてあげられるのだろう。明日から、橋の欄干に幸せの黄色いハンカチを一枚ずつ結び付けようか、とも思う。いつか“健さん”ハクチョウが無事に戻ってくる日を祈って。
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# by kenya-guitar | 2016-04-13 22:11 | 雑記 | Trackback | Comments(0)

新しいシーズン



 四月初旬の週末、ペンギン村駅近くの芝生公園は花見客で賑わっている。まだ明るい夕方、穏やかな晴れの日中よりもやや肌寒い。1kmくらい先の浜辺から流れてくる風が桜の木を撫でては花弁を一枚、また一枚と落として芝の上に散っている。花弁が舞う向こう側ではゴザを敷いた上に若い父母が歓談していて、その向こうにいる子どもたちは皆、楽しそうにボールを転がして遊んでいた。時折、甲高い笑い声がキャッキャと耳に飛び込んできた。ギター講師の仕事も終えた私はそこからやや離れたベンチにひとりで座る。近所のスーパーで買った缶ビールを開けると乾いた音が。少し飲んでから、梶井基次郎の『桜の樹の下には』をふと思い出した。得体の知れない憂鬱、だったか。
 さっきとは別の男の子たち三人がフリスビーを目の前で始める。風に揺られて浮遊する円盤をしばらく眺めていた。一羽のカラスも芝の上に着地する時に黒い翼に風をたっぷりとつかんでいた。

 明るい内のビールは美味いが、酔いの回りも速い。何も考えることなく、ただその公園の風景にしばらく身を委ねていた。この中に溶け込んでいる気はするものの、決して透明人間になっている訳ではないのだろう、と。久しぶりのフロート感で、目の前にある大画面で流れる平和な映像をぼんやり観ている、そんな時間だった。現実味は無いけれども、平和なのは確かな様子だ。

 タバコを一本、煙を眼で追うと、空を這っている雲が視界に入った。キャンバスの上に荒く硬い刷毛で擦ったような雲、上空でも高い層のそれを背景に、低い層では塊になったいくつかの雲が海風に煽られている。うすいねずみ色がゆっくりと流れている。ゆっくりゆっくり、形を変えながら。
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# by kenya-guitar | 2016-04-12 15:50 | 雑記 | Trackback | Comments(0)


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